看護師の転職意識
1.転職意識の有無
まず、実際に転職活動をしている、あるいは検討していると回答した人は39%に上ります。
あなたの周りに5人集まれば、そのうち2人の看護師は・・・という割合。参考までに、
比較として、一般の女性労働者(OL等)の転職動向をのぞいてみると、転職活動中・検討中の人を合わせて25.8%にとどまっています。
よりよいキャリアや待遇をつかむため、転職を“華麗なステップアップ”として前向きにとらえる看護師さんも少なくありません。
社会的需要の高さから、基本的には引く手あまたの転職活動・・・OLさんはうらやましく思っているでしょう。
2.世代別の転職意識
年代別に転職意欲を見てみましょう。20歳代後半(25〜29歳)は、
転職活動中・検討中の人が47%となり、他の年代と比較しても頭一つ抜けた勢いを見せています。
考えてみれば、看護師さんの世界で20歳代後半ともなれば、一人前になって久しく、
そろそろ中堅ナースへも手が届こうかという頃。若くして転職を実行できるだけの力を獲得しているということなのでしょう。
これに続く30歳台前半(30〜34歳)は42%と旺盛な転職意欲を見せますが、
30歳代後半(35〜39歳)では37.3%、40歳代前半(40〜44歳)では32.8%と、
ゆるやかな下降線。年齢を重ねるにつれ比較的に落ち着いていく傾向がうかがえます。
世代 |
活動中/検討中 |
考えていない |
20代 |
47.0% |
53.0% |
30代 |
39.5% |
60.5% |
40代 |
32.8% |
67.2% |
3.雇用形態別の転職意識
勤務形態と転職意欲には何らかの関係があるのでしょうか。 常勤(夜勤あり)の層では、39.4%が転職活動中または検討中。
常勤(日勤のみ)の層では35.2%、そして非常勤の層が最も転職に積極的で41.2%という結果に。
とはいえ、数値としてそれほど大きな開きはなく、勤務形態によって明確な傾向がうかがえるとまではいえないかもしれません。
常勤(日勤のみ)の層が比較的現状に満足しているのは、
仕事とそれ以外の生活のバランス(ワークライフバランス)を取りやすい勤務形態が影響している可能性はありそうです。
雇用形態 |
活動中/検討中 |
考えていない |
常勤(日勤のみ) |
35.2% |
64.8% |
常勤(夜勤含む) |
39.4% |
60.6% |
非常勤 |
41.2% |
58.8% |
4.転職経験別の転職意識
転職経験の程度に応じて転職意欲が左右されることはあるでしょうか。
転職活動中・検討中の割合について、まだ転職経験のない層と転職経験1〜3回までの層の数値を検討すると、
だいたい3回の転職を重ねる間に、好ましい職場を見つけて腰を落ち着ける看護師さんの姿が浮かび上がってくるようです。
ところが、転職経験4回以上の層に目を向けて比較すると、がらりと様相が変わります。
4〜5回の層では45.3%、6回以上の層では42.9%が依然として転職を視野に入れているのです。
このくらいになると、むしろ、やがては転職することを当然の前提として職場を選んでいる人が多いのかもしれません。
転職回数 |
活動中/検討中 |
考えていない |
0回 |
41.6% |
58.4% |
1回 |
33.3% |
66.7% |
2回 |
41.3% |
58.7% |
3回 |
30.6% |
69.4% |
4〜5回 |
45.3% |
54.7% |
6回以上」 |
42.9% |
57.1% |
5.在職期間別の転職意識
看護師としての在職期間別に転職意欲を見た場合は、どのような傾向が浮かぶでしょうか。
在職1年未満で転職活動中・検討中という人は16.7%で、さすがにまだ目立ちません。しかし、在職1〜3年で途端に43.9%まで跳ね上がっています。
それに続く在職4〜6年、7〜9年の層は、それぞれ46.8%、42.9%が転職を視野に入れており、なおかつ人数が多いボリュームゾーンに当たるため、
転職適齢期として転職市場の主役になる人たちかもしれません。
なお、在職10〜12年の層では32.9%、13〜14年の層では36.7%、15年以上の層では33.6%と、
転職意欲は比較的に減少傾向になります・・・。長く働ける居心地のいい職場だからなのか、年齢が上がった影響なのか、
とにかく在職期間が長くなるほど転職を考える人は確実に減っていきます。
在職期間 |
活動中/検討中 |
考えていない |
1年未満 |
16.7% |
83.3% |
1〜3年目 |
43.9% |
56.1% |
4〜6年目 |
46.8% |
53.2% |
7〜9年目 |
42.9% |
57.1% |
10〜12年目 |
32.9% |
67.1% |
13〜14年目 |
36.7% |
63.3% |
15年目 |
33.6% |
66.4% |
6.年収別の転職意識
「99万円以下」の層では33.3%、「100〜199万円」の層では32.7%が転職活動中・検討中との回答。
他の年収層に比べて数値が低めなのは、パートタイムとして仕事外の活動との調和を重視している人が一定数おり、
そのニーズが満たされていることが理由の一つとして考えられます。
一方、年収が「600万円以上」であれば、責任あるポジションや仕事を任されていることも意味するため、転職を考えるケースは減っていく様です。
年収200万円台〜500万円台の層では、
全体的に転職意欲が比較的に高めになっています。特に「200〜299万円」の層と「500〜599万円」の層で高くなっているのは注目点といえそうです。
年収 |
活動中/検討中 |
考えていない |
99万円以下 |
33.3% |
66.7% |
100〜199万円」 |
32.7% |
67.3% |
200〜299万円 |
48.8% |
51.2% |
300〜399万円 |
40.0% |
60.0% |
400〜499万円 |
40.0% |
60.0% |
500〜599万円 |
45.2% |
54.8% |
600万円以上 |
28.6% |
71.4% |